第50回母と女性教職員の会 決議文

 

 子どもたちにゆきとどいた教育の保障を求める要請決議

 8月30日に投開票された総選挙の結果、自民、公明が議席を激減させ、政権交代を迎えました。これまで、財界・大企業とアメリカの利益を優先させ、地方切り捨て、弱肉強食、貧困と格差の拡大の元凶である「構造改革路線」を続けてきた自公政治に対して、国民はきっぱりとノーを突きつけたのです。
 自公政治の長年の悪政による貧困と格差の固定化・拡大が子どもたちの学ぶ権利と豊かに生きる権利を脅かしています。1989年に国連で子どもの権利条約が採択されてから今年で20年目になります。日本政府は国連・子どもの権利委員会から「過度に競争的な教育制度」などの是正を二度にわたって勧告されています。しかし、是正するどころか、全国学力テストや学校選択制を導入し、子どもたちを激しい競争に追い立ててきました。
 沖縄県でも「全国学力テスト」2年連続最下位という結果に教育現場では、競争主義・成果主義にいっそう拍車がかかり、子どもたち、保護者、教師が翻弄されています。その結果、教職員の病気休職、なかでも精神疾患が年々増え続けていることは憂慮されることです。
 経済的な困難を抱え、失業や生活保護世帯が増え、交通費がなく学校に行けない、授業料未納、給食費未納等々で心を痛めている保護者や不安を抱いている子どもたちがいることも深刻です。「学力は経済的、文化的問題が影響する」といわれ、「貧困」の早急な社会的解決が強く求められています。
 ヨーロッパ諸国では教育にかかるほとんどの費用は保育園から大学まで無料、また大学生は「学生援助金」が支給される国や、郵便ポストの数以上に保育園があり、全校に学童保育がある国、特にフィンランドでは高校まで教科書、ノート、筆記用具、給食費、通学費、遠足への支援金などあらゆる教育費は無料です。「公教育は無償である」が世界の主流です。
 新しい政権は「高校授業料実質無料化」や「子ども手当支給」など一歩踏み出した事は評価できますが、子どもの権利実現にはほど遠いものといわざるをえません。
 一人ひとりの子どもたちは、保護者にとっても、社会や国にとってもかけがえのない宝であり、未来そのものです。憲法、子どもの権利条約の精神に則り、子ども達が健やかに成長し、生き生きと学び、子どもが権利の主体となるゆきとどいた教育の保障を求め、次のことを決議し、要請します。

                 記

一 教育予算を増やし、教育費の保護者負担の軽減・無償化をすすめること
一 就学援助費の拡充と同時に給付制奨学制度を創設すること
一 30人以下学級を早急に実現し,教職員の定数を増やすこと

                         2009年12月4日
                        第50回高教組南部支部
                          母と女性教職員の会

    2009年12月4日

沖縄県高教組南部支部  第50回母と女性教職員の会