教科書検定:集団自決強制削除 
「毒入りおにぎり食え」日本兵命令、沖縄県議長が告白

 ◇ガマ避難の家族、泣く3歳妹らに−−沖縄県議長が体験告白
文科省の教科書検定意見の撤回を求める意見書案をまとめた沖縄県議会文教厚生委員会で、仲里利信議長(70)=自民=が委員として自らの戦争体験を告白した。「思い出したくなくてこれまで黙ってきたが、こういう(教科書検定の)状況があり、体験者としてこの際話しておくべきだと思った」と語った。
 仲里議長は委員会が意見書案の文面を巡って協議中、「この際ですから戦争体験者として、参考になればと思って話します」と切り出した。
 仲里議長は沖縄戦当時8歳。家族や親類と一緒に県北部(ヤンバル)に避難。約200人と共に壕(ガマ)に隠れていた。「ともに3歳の妹といとこが、暗闇が怖くて泣きじゃくっていた。そこに日本兵3人が入ってきて、白いおむすびの中に毒を入れて『これを食べさせろ』と。2人を殺すよりみんな一緒にということで家族でガマを出た」
 その後、別のガマや墓に入って隠れたが、ある日、近くに米兵を見つけて再び逃避行に。「3日3晩、山の中を歩いて何も食べなかった。弟は満1歳の誕生日に栄養失調で亡くなった」
 仲里議長の話に、目をぬぐう議員もいた。仲里議長は教科書検定について「歴史を繰り返さないためにも、言うべきことは言わないといけない」と意見書案に賛成した。【三森輝久】

毎日新聞 2007年6月20日 西部朝刊